ファンドにスカルピー、クレイワックスに樹脂粘土。
粘土系の造形材料は数あれど、それ用の造形板って意外と選択肢が少ないんですね。
私の観測範囲ではカッターマット上でコネコネする派が大多数、あとはスチロール系粘土板と人工大理石製パンこね板が少々って感じでした。
たかが造形板とお考えかもしれませんが、板前さんのまな板、鉄工さんの定盤、書道家さんの毛氈(もうせん・いわゆる下敷きですね)に相当する、粘土人にとって大事なものなのです。
造形の効率とクオリティに直結すると言っても過言ではなく、徒や疎かにして良いものではございません。
なのでちょっとこれ見てってください。
さてこの商品、絵ヅラはただの白い板ですので写真映えはしませんが、手にとれば世に出回る造形板とは別格の高級感を感じていただけるでしょう。
それもそのはず、景徳鎮や伊万里焼でお馴染みの高級磁器と基本的に同じような材料と製造法で作られているのです。
非常に細かく粉砕した高嶺石、長石、石英を数日かけてじっくり練り上げ、3回に分けて最高1,350度で焼き上げると表面はガラス化してツヤツヤのツルツル、各種強度もグンと上がって、重く、ひんやりした、美しい白磁の造形板になります。
これは簡単に言ってしまえばガラス化した石ですが、ほんとうにツルツルですので剥離性が非常に高くなっています。
造形材料は言うに及ばず、各種塗料や汚れなども簡単に剥がし落とすことができるので、表面をいつもきれいに保つことができます。
材料に小さなゴミや汚れが練り込まれるとブルーになりますもんね。
ここで冒頭の例で挙げたパンこね板、人工大理石製のやつについて説明させていただきますが、アレ、大理石を謳いながら石成分は全く入っていません。
上手に石のフリしてますが正体は樹脂です。
ポリエステルとかアクリルといった樹脂にガラス繊維とか石膏とかを混ぜ込んだものですね。
つまり溶剤に弱いんです。本物の石系材料で作られた本製品と違い、シンナーなんかで拭こうもんなら表面が溶けてしまいます。
石なんで当たり前ですが、机上工作レベルで用いる熱源ではどーやっても熱破損させることが不可能なほど熱に強いです。
なのでワックス造形に必須の加熱作業も余裕でこなせます。
ヒートブロワーで炙っても、真っ赤に赤熱したスパチュラをポンと置いても問題ありません。
また先ほどの人工大理石パンこね板を引き合いに出して恐縮ですが、あっちはプラですから石ほど熱に強いとは言いにくいんです。200度程度が限界なのではないでしょうか。
なお、このリンゴの作り方にご興味がおありの方は、こちらをご覧ください。
1.7kgです。素の重さに加え、裏面にはシリコーンの滑り止めが9点配されておりますので、かなり力をかけても机に張り付いたかのようにビクともしません。
また、ナイフなどで材料をカットする機会は多いですが、持ち前の硬さとツルツルさのおかげで驚くほど傷がつきません。
たびたび恐縮ですがもう1度だけ人工大理石を例にあげさせていただきますと、あちらはプラである以上、柔らかいんです。カッターを走らせようものなら簡単に傷が入ってしまいます。
本商品ではよほどゴッツな刃物でない限りその心配はありませんが、切りやすさで言えば刃をはね返さないカッターマットの方が当然上です。
ただ、傷の入っていない滑らかな平面を保つ必要がある粘土細工には、硬度に優れたこちらの方が向いているのです。
ワックス造形に限定したお話になってしまいますが、熱伝導率がたいへん低いため、いつでもひんやりしているのも都合がいいです。
造形に温度差を利用するワックスにおいては、手近なところに大面積の冷熱源があるというメリットは嬉しいものです。
なお、本文中に人工大理石製パンこね板を不当に貶める印象を与えかねない表現がございましたが、こちらに当該商品をディスる意図はございません。
パンこね板は造形板として作られたものではなく、その名のとおりパンをこねるためのものです。
溶剤や切創に耐える必要などありはしません。
当店としましては、それを造形板に流用せざるを得ないほど選択肢が薄い状況こそが問題であると思うのです。
マイナーな世界なので仕方ありませんが。
カグラワックス PRO
¥1,650
粘土とロウのいいトコ取り!
陶製アルコールランプ 天目神楽灯
¥3,980
ワックス造形には欠かせない熱源です。
歯科臨床用スパチュラ
¥800
歯科技工用じゃなくて歯科臨床用。
細部専用 タマチュラ 5本セット
¥2,980
均す・圧す・抉る、クレイワークの基本をこなす小さな指先。
細工刀 SOH 10本セット
¥8,190
伝説の凄腕根付師、森田藻己の名を戴く「彫る」ための道具。
超薄刃精密ナイフ
¥330
メス?カミソリ?