ルネッサ~ンス!
・・・いえ、ほんとごめんなさい。
みなさん、大切な作品やお宝フィギュアの保存、どうしてますか?
こう言っちゃなんですが、それらは文化遺産になる可能性大です。割と本気で。
何百年も前に作られた仏像とか、ただ時間が経ってるってだけで貴重品扱い(言い過ぎすみません)ですけど、当時の仏師も現在のフィギュア原型師もやってるこた一緒(重ね重ねすみません)なんです。
それまで保てば、ですけどね。
で、そういった長~い時をクリアしたお宝の数々を管理している各国の博物館は、それはもうたいへんな労力をかけて保存にあたっています。
湿度や温度の管理はもちろん、紫外線の徹底遮断、場合によっちゃ完全気密の上に不活性ガス充填なんてことまでして劣化を防いでいるんです。
そんなシビアな現場で使うために開発された逸品がこのルネッサンスワックスです。
イギリス生まれのこの製品、同国では大英博物館で各種お宝の保存に実際に使われています。
一般的にプラスチックって分解しにくい安定したものと考えられがちですが、これ、大間違いです。
蛍光灯レベルの紫外線でも劣化しますし、湿度が高ければ加水分解しちゃってグズグズになります。
材料として歴史が浅いんであまり表だっては騒がれてませんけど、学芸員さんやコレクターさんの間ではとっくに経年劣化に激弱な材料と認識されていて、その保存方法が研究されています。将来に遺すべき20世紀の文化遺産なんかプラ製品のオンパレードですからね。
ほら、黒い部分が白くボソボソになってるのとか、消しゴムがベタベタして引き出しの底にくっついちゃってるのとか見たことあるでしょ?
PVCには可塑剤であるフタル酸エステルが入ってまして、表面が酸性環境に曝されるとこいつが浮き上がってきてベタついたりするわけです。
酸性環境ってことはですよ、人間の皮膚も弱酸性だし、大気だって酸性物質がてんこ盛り。
これら劣化原因からお宝を隔離してあげる必要があるんです。
おかげで変な混じり物がありませんから、化学的に極めて安定して外変に強く、他への影響もなしというまさに保護剤の理想像。
本家カルナバロウはヤシの葉っぱの表面を覆う成分から抽出したものですが、天然ものであることに加え、塗布用ワックスである以上、絶対に不純物が入っています。
だって純カルナバってカッチカチのガラスみたいな状態ですからね。そんなもん塗れませんから。
カルナバロウの必要機能だけを化学合成したルネッサンスは、本家をはるかに越えた長期保護能力と使い勝手を発揮します。
ごく少量塗布するだけで強力な保護皮膜ができて、樹脂や塗装面はもちろん、各種金属から木材、革などをイイ感じで保護してくれるのです。
各国の博物館では各種美術品や紀元前からの貨幣、貴重な映画フィルム、果てはミイラに至るまでこれで保護しているそうです。収蔵環境をガッチリ固めるのも大切ですが、表面保護をしっかりするのも変質を遅らせる基本ということなんですね。
保護したいブツの汚れを落としてよく乾燥させたら、これまたよく乾いた柔らかい布にほんの少しワックスをつけ、薄く伸ばしながら塗るだけです。
1缶65mlとコンパクトな容量ですけど、なんせ使用量が極少だし使用期限なんかないも同然だし、コストパフォーマンス絶大ですよ。
あ、落としたいときはシンナーやホワイトガソリンなんかで洗えばすんなり落ちます。
ただ、塗装も一緒に落ちちゃいますけどね。それって溶剤ですし。
が、現時点では最良ってことになってます。あんまりです。
まあそんな本気すぎて現実味の薄い対策はさておき、大英博物館お墨付きのマジアイテムに大事な僕らの未来の重文も任せちゃいましょうよ。